#17 労働基準法で何が変わるのかー4月1日改正労働基準法施行
4月1日になり新しい年度が始まりました。
5月1日には元号は「令和」に代わります。
そんな私も4月から社会人2年目のヒラリーマンです。
新しいことが始まるこの時期。
そんな中ある法律が法改正の行いました。
労働基準法です。
昨今「働き方改革」という言葉を耳にしている方も多いと思いますが、今回の改正ではまさしくその言葉を実行するかのような改正になっています。
今回の記事ではヒラリーマン2年生になった
私が仕事の合間を見つけて調べた内容をまとめていきたいと思います。
目次
そもそも労働基準法って何なの
簡単いうと
労働者をまもるための法律
だよ。
日本国憲法27条において、以下の勤労の権利を保障している
第27条
(1)すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
(2)賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
(3)児童は、これを酷使してはならない。
憲法27条2項に基づき労働基準法が制定されました。
その後最低賃金に関する法律は最低賃金法、安全及び衛生に関する規定は労働安全衛生法にそれぞれ分離。
また労働基準法、労働組合法、労働関係調整法と合わせて労働三法と呼ばれます。
労働基準法の精神は「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。」というのもの。内容は「労働条件は、労働者が人間らしい生活ができるものでなければならない。」という理念のもとに、就職から退職までのさまざまな条件を定め、雇い主は「この条件以下で労働者を働かせてはいけない。」と定めてある。そして「労働者の国籍や信条、社会的な身分を理由に労働条件に差別をつけてはならない。」としています。
長時間労働が起こるメカニズム
長時間労働の問題は昨今様々なところで問題視されています。
なぜ長時間労働が起こるのでしょう?
労働基準法32条によると、労働時間の上限は、1日につき8時間、1週間につき40時間と定められています。
が
労働時間を延長する労使協定(所謂三六協定と言われているもの)を定めることができ、また各種のみなし労働時間制を採用することにより、労働基準法32条にとらわれない労働時間設計が可能となっているからです。
さらに、三六協定には特別な事情の場合に限度時間の延長をして労働させることもできる「特別条項」と呼ばれる例外措置が認められていています。(いわゆる特別措置法条項付き三六協定)
この特別条項、どこまで上限を拡大して良いのかについて、特段の定めが無く、これを駆使すれば事実上時間外労働の時間数に制限がなく働かせることができてしまいます。
また、慢性的な人手不足による一人あたりの仕事量の増加や長時間働くことを良しとする会社の雰囲気なども長時間労働の原因の1つになっています。
改正労働基準法はなにが変わったの?
さて本日2019年4月1日から施行された労働基準法は何が変わったのでしょうか
ざっくりいうと、
・残業の上限時間を設けたよ。それを超える時間働いたら罰則よ。
・みんなしっかりと休みましょう。
ということです。
ここからは厚生労働省が発行しているリーフレットを引用しつつ改正する内容をまとめていきます。このリーフレット非常によくまとめられています。
「働き方改革~一億総活躍社会の実現に向けて」(2019/1掲載)[3,945KB]
https://www.mhlw.go.jp/content/000474499.pdf
この中でも特に多くの人に関係しそうなものをチョイスしました。
1. 残業時間の上限の規制
2.「勤務間インターバル」制度の導入の促進
3.1人1年あたり5日間の年次有給休暇の取得を、企業に義務づけ
4.労働時間の状況の記録を、企業に義務づけ
1. 残業時間の上限の規制
残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間まで
臨時的な特別の事情があり労使が合意する場合でも、
・年720時間以内
・複数月平均80時間以内(休日労働を含む)
・月100時間未満(休日労働を含む)を超えることはできません。
また、原則である月45時間を超えることができるのは、年間6か月までになります。
(出典:「働き方改革~一億総活躍社会の実現に向けて」https://www.mhlw.go.jp/content/000474499.pdf)
なおこの制度、中小企業については1年猶予期間があり施行が2020年4月からとなります。
2.「勤務間インターバル」制度の導入の促進
勤務間インターバル制度とは?
勤務の終業時間から一定の休憩時間を設定し、翌日の勤務開始時間との間を一定時間空けることにより、休息時間を確保する制度です。このような制度すでに制度化されているEUでは、24時間について最低連続11時間の休息付与が義務づけられています。
[勤務間インターバル制度について]
なお、今回の改正ではあくまでも努力義務として規定しているに過ぎないので、絶対に導入する必要があるわけではありません。
3.1人1年あたり5日間の年次有給休暇の取得を、企業に義務づけ
(出典:「働き方改革~一億総活躍社会の実現に向けて」https://www.mhlw.go.jp/content/000474499.pdf)
この制度についてはまた詳しく別の記事で書きたいと思います。
また有給休暇5日取得義務化について厚生労働省で別の資料で詳しく記載されています。
年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説(2018/12掲載)[1,337KB]
https://www.mhlw.go.jp/content/000463186.pdf
4.労働時間の状況の記録を、企業に義務づけ
健康管理の観点から、裁量労働制が適用される人や管理監督者も含め、すべての人の労働時間の状況が客観的な方法で把握されるように法律で義務化されました。
労働時間の状況を客観的に把握することで、長時間働いた労働者に対する、医師による面接指導 を確実に実施します。(残業が一定時間を超えた労働者から申出があった場合、使用者は医師による面接指導を実施する義務があります。)
情報の移り変わりの激しい時代で働いていくために
いかがでしたか?このような流れで今日から施行されました。まだまだ課題が山積みな日本社会。働き方改革という言葉はよく世間には広まったとは思いますが、私自身働いて肝心の改革そのものはほとんど進んでいないようにも感じます。
自分の身は自分で守るという諺がありますが、やはり社会の中で生きていく上で法律を知るということは大切だと感じました。
今ITという畑違いの分野で働いていますが、大学で法律を学んでおいて本当に良かったと思っています。
今月で平成が終わり、来月5月からは令和という時代が幕を開けます。
少し前の記事でも伝えましたが、
これから(または今)勤めてる会社や仕事が嫌なら逃げ出して良いんです。
なぜなら、
結局あなたの人生が1番大事だからです。
今働いてる会社がブラックだと感じたらとっととお別れしましょう。そのまま我慢してると押し潰されてしまいます。
そのためにも法律は知っておいて損はないと思います。
令和がもっと"より良い"時代になっていくと良いですね。